経済大激動の一年
長い間、所感を書かずに来ました。気になっていましたが、どうにも時間がとれずキーボードに向かえませんでした。心待ちにしてくださる人が多いにもかかわらず、申し訳なく思っています。今年はなんとか書こうとしていますが、新年を迎えた今日、改めて年間の日程を見ていると書く自信が揺らぎます。
さて、昨年は本当に激動の一年でした。ギリシャに端を発した金融不安はEUだけでなく全世界に大きな影響を与えました。倒産した欧州銀行のデクシアがもっとも融資していた相手先の一つが中国やインド、ベトナムの企業群でしたから、EUの金融不安は一気にアジア経済を直撃し、世界経済の機関車とまでいわれる中国のバブルをハジケさせて、インドやベトナムの経済までも冷え込ませました。
米国の財政赤字は深刻で、今後1兆ドルも予算を減らさなければなりません。それは米国経済の浮揚の芽をつぶすこととなり、大統領選挙が予定される米国は予断のならない1年を迎えます。
まさに『展望と開運 2012年版』で予測したとおり、世界は金融不安と世界同時不況に直面してきました。今年の『展望と開運』は、昨年真夏の前に書き上げました。その時期に誰1人もこうした経済大混乱を予測していませんでしたから、改めて自分の予感は正しいかったと考えています。
政治も激動の一年
また、昨年は中東に民主化のうねりが起こりました。独裁政治であっても、北部アフリカでもっとも政治的に安定していたチュニジアで民主化運動が起こるとは予測できませんでした。それが、あれよあれよという間にエジプトに拡がり、強権リビアも倒れ、いままたシリアが民主化の大波に飲み込まれようとしています。
イスラム原理運動の象徴的指導者だったビン・ラディンが殺害され、リビアのカダヒィーが処刑、ロシア空港テロの首謀者2人がイスタンブールで暗殺され、イランの「ミサイル開発の父」ハッサン・モガダムが、イスラエル諜報機関モサドによるミサイル基地の爆発で死亡しました。そしてついに北朝鮮の最高指導者・金正日が、死亡原因は明らかではないけれど、死去して正恩に権力が受け継がれる驚きの展開になりました。
そして2012年は台湾総統選挙、韓国の大統領選挙、中国共産党主席の交代、米国大統領選挙、ロシア大統領選挙、フランス大統領選挙、国内では民主党の党首選挙があります。名づけて今年はグレート・エレクション、どうやらフランスは再選が難しく、韓国は再選が禁止で、台湾は現職と新人の戦い、中国は交代が決定済みで、ロシアのプーチンはここにきて国民に不支持が拡がり、オバマも再選はかなり難しい。どうやら今年のサミットで参加できるのは、昨年に総理となった野田さんだけかも知れないのです。本当に政治大激動の年なのですね。
西から東へ大移動
紀元前後は中国とギリシャ、ローマ、エジプトと分散していた世界の中心は、10世紀頃からアジアへ重心を移します。それがイスラム帝国の大繁栄でした。今年の『展望と開運』の三碧木星の項で紹介したイブン・バットゥータをお読み頂ければ、イスラムの繁栄がどれほどだったか理解してもらえます。そして中国とモンゴルの隆盛。世界の歴史はこの時期、アジアを核として動いていました。
それが15、6世紀ルネッサンスの勃興で大きく崩れます。東洋貿易で財をなしたフィレンツェやベネチアの商人たちは、それまでの封建主義を脱し、より自由な人間解放の文化を志向してゆきます。レンブラントが登場し、ラファエロ、ミケランジェロが活躍し、彼らはみな光を求め、人類の希望を表現するルネッサンスの巨匠でした。教育では人間の素晴らしさを発見したコメニウスが幼稚園をスタートさせ、そして巨人ルソーが登場します。絵画ではセザンヌ、ゴッホ、ミレー、ミロなど印象派の活躍につながり、音楽はバッハ、モーツアルト、ベートーヴェンへと続く近代クラシックへと成長を続けました。
またそれは産業革命の原動力になって、イギリスの発展、フランスでは民主主義の成長、アメリカの独立と続き、東洋500年の繁栄にかわって西洋500年の栄光を導き出したのです。人類史上10世紀以降の1000年間は、前半は東に、後半は西に支点をスイングさせたミレニアム期間だったのです。
後半の500年は、つまるところ「火」の時代でもありました。「火」、つまり九紫火星の時代だったのです。この500年間は自然科学の時代であり、真理探求と技術知識の発展期でもありました。それに美と教育と発明、また宮廷や貴族の華美や重商主義に裏打ちされた権力と策謀渦巻く世紀でもありました。産業革命は石炭を燃やし、20世紀のエネルギー革命は石油と天然ガスを燃やす。そしてついに、原子力の火にたどり着きます。まさにこの500年間は「火」の世紀、九紫火星の世紀だったのです。
これからは土星の時代
しかし、ここにきて「火」の時代は終わりを告げようとしています。化石燃料を燃やし続けたため二酸化炭素は増え続け、地球の温暖化が顕著になってきました。Fukushimaは原子力の火がいかに危険かを世界にハッキリさせました。もう人類は華美や権力や華々しさに迷ってはなりません。時代は大きく移り始めたのです。
これからの時代に必要な思想はなんでしょうか。世界人口は70億に達し、食糧危機が予測されます。もう日本の農業を放置していくことなどできません。休耕田などという愚かな政策を継続している「ゆとり」はありません。そして超高齢化、これは日本ばかりでなく明日の中国、明日の欧州が直面する問題でもあるのです。
そしてタイに見る大洪水。異常気象も問題ですが忘れてならないポイントは計画なき森林の伐採です。山の崩壊が洪水につながる。その意味でわが国の東日本大震災は象徴的でした。一気に住宅が海へ流され尊い人命が失われました。海の底は荒れ放題です。漁業への影響が心配でした。
ところがです、放射能被害は大きな問題としても海産物の豊漁が続きます。カキなどの養殖は通常の倍以上の速さで成長しています。なぜでしょうか。山の養分が海へ流れ込んだからでした。山の植物性プランクトンが海へ流れ込み、動物性プランクトンの成長を促す。それによる豊漁です。生命の母は海ですが、海の母はなんと山だったのです。風神が雷神を呼ぶように「山の神が海の神を呼ぶ」、自然は驚きに満ちていました。
そして産業廃棄物。あるいは生活ゴミ。私たちの出すゴミはもう地球が消化する限界を超えてきました。加えてPCBやプラスチックといった自然界にないもの。原発の核廃棄物など処理の方法も開発されていないままで導入されてきました。なんと人間は愚かなのでしょう。
農業も超高齢化も二黒土星、山林の自然環境は八白土星、そして廃棄物は五黄土星。子育ても、生きる自信も、土壌汚染や土の回復力もみな「土星」。これからの500年間は「土」、土星の時代なのです。
それは東への回帰
「土」の時代を前にしてレア―アースの大消費が始まっています。アース、つまりこれも「土」。それにシェールガス、新しい資源なのですが、なんとこのガスは頁岩(けつがん)という、地下2千メートルもの深さにミルクレープ状態でいる岩の中に閉じ込められている泥にあります、つまり「土」なんですね。
さらにレア―アースが中国に握られているのでその代わりの材質を開発しなければならないけれど素材開発はこれまた「土」。エネルギーの太陽光発電もレア―アースが欠かせないけれど、本当にエネルギーとして重要なのは地熱発電で、これまた「土」。
こうした土星の時代を牽引するのはいったいどこでしょう。東洋なのですよ。欧州は金融不安、米国は財政崩壊。数年前のリーマン・ショックを支えたのは中国の50兆円に上る公共事業でした。その中国はいまバブル崩壊です。世界はもう日本の肩に掛かっている。もとより日本は国際がGDP(国内総生産)の2.5にもなる1千兆円も抱えるけれど、ここは日本ができる限り支えなければならない。それが大きな目で見れば必ず日本のためになる。
産業廃棄物の処理は日本の技術が欠かせない。素材産業は日本のお家芸だ、地熱発電は温泉国の日本がやらねばどうにもならない。シェールガスは日本にはないけれど、メタンハイドレートは日本近海に寝ている。だいたい高齢者医療と超高齢化をしのぐソフト技術は日本が最先端で、植林は日本しか技術を持っていない。
その日本を手本として台湾、韓国、中国、マレーシア、シンガポールがついてきている。そしてまだまだ石油と天然ガスを算出し続ける中東諸国が日本や韓国の環境技術に熱い視線を注いでいる。東洋が世界の中心に立つときが来ているんです。人類史は500年かけて、ブーメランを東の国へカーブさせてきたのです。その大転換を知らなければなりません。
世界は日本化する
Fukushima事故の直後にフランスのサルコジ大統領が来日したことを覚えていますでしょう。これはお見舞いではなく、フランス・サミットで菅総理が原発離脱を宣言して欲しくないためでした。まことに利にさといフランスらしいと思ったものです。
しかし、オバマ米国大統領の最近の動向は注目しておいてよいと思っています。彼はASEAN終了と同時に豪州のキャンベラ、ダーウィン、インドネシアのバリと回り、「新オバマ・ドクトリン」を鮮やかに描いて見せました。
この旅の途次で大統領はイラク、アフガニスタンから撤退する米国が孤立主義へと閉じこもる不安を明確に否定し、東シナ海、南シナ海、インド洋に米国は「より大きな、より長期にわたる役割演じる」と明言しました。アジアは中国の経済力を貿易によって得るという現実を認めながらも、中国の覇権主義と強権的体質に対して明快にノーと言ったのです。それと軌を一にしてクリントン国務長官はフィリピンに飛び、クラーク基地とスービック湾の米軍使用を拡大する旨を発表した。
こうした米国の態度をアジア各国は歓迎し、なんとインド、ミャンマーまでが米国よりに転換し始めました。こうした米国の強気の態度はバックに日本と韓国がひかえ、台湾が存在しているからに他なりません。ギリシャ支援策も日本はすでに6千億円の分担を承諾している。おそらくやってくるイタリア破綻も日本が支援しなければならない。
わが国は失われた20年といわれるが、不況の中でけっして閉じこもっていたわけでありませんでした。その間に企業構造を立て直し、3つの余剰を処理して金融力を強め、海外拠点を拡充してきたのです。大企業中心に行ってきたこうした産業構造の大転換を中小零細に広げなければなりません。それのみならず、大衆意識のただ中に国際化という意味を知らしめなければならないのです。
米国ではAKB48が爆発的な人気です。普通の女の子がタレントになるというチャンスの広さ。操作盤をなくし身体全体をゲームに同化させ、人間の活動を宇宙的に広げた日本型ゲームも大評判です。オシボリはいまや世界の国際航空便の常識になりました。5つ星のホテルにはスリッパとヘアー・ドライアー、洗面セットが完備されています。みな日本文化ですね。
だいたい不況ばかりを考えるけれど、世界を好況に導いたバブルを振り返れば、昨日までの中国不動産バブル、その前の米国不動産バブル、その前のITバブル、その前の金融バブル、そしてその前の日本の不動産バブルが続きます。つまり世界はずっと日本がしてきたことをたどっている。その処理もすべて日本が行ったと同じ処理の仕方で真似しているだけです。
もう気づきましょう。日本はまぎれもなく世界の先頭なのです。経済力は世界第3位、国土の広さは世界60番目に過ぎない。軍事力だって大きくない。でも、日本は文化で、あるいは経済の対応力で、いまや世界の最先端に立っているのです。その自覚を強くもって新しい1年を迎えましょう。
ガンバロウ日本! |